ゴールデンカムイ聖地巡礼鉄道の旅2022.9(1日目)

漫画、ゴールデンカムイが大好きだ。

前回、旅の相棒山猫少尉と、バスツアーに参加した。

北海道の今まで行ったこともない地域を、バスで西へ東へとブンブン周り、アイヌ民族の歴史や、北海道開拓の歴史にふれ合い、体験した。
ゴールデンカムイ聖地巡礼でもあり、マンガと重なり合わせて、とても楽しく刺激的な素晴らしい旅行だった。

北海道の酒もメシもスイーツも、美味しかったし。
サイコーですやん。
こんな楽しい旅は、なかなかないで!

だが、しかし。
ゴールデンカムイの舞台となった北海道は広大で、2泊3日のバスツアーでは、まだまだ周りきれてない。
これは、ひょっとして、聖地巡礼第2弾のツアーも、企画されるんじゃなかろうか?いや、されるでしょう。きっと!!

・・・そう期待して、2ヶ月経過。
私も、山猫少尉もいろいろ検索し、調べてみるけど、あの前回のステキバスツアーのような企画は、なかなか現れない。
ゴールデンカムイ最終決戦の地、函館あたりに行きたいのに。

・・・えーい、もう待てん!(2ヶ月しか経ってないが)
ツアーが無いのならば、自分らで勝手に行くからね!!

と、アツい思いが止まらない、羊好大尉と山猫少尉は、8月辺りから、旅行先の予定を練り練りし、飛行機だの特急だの、グルメのお店だの、綿密にスケジュールを詰めていき。

9月、シルバーウィークの後半部に照準を定め、各種予約を入れ、聖地巡礼第2弾の旅程を、決定したのだった。

1日目。
大阪は、朝から強い雨が降っている。
台風の後の影響か。

天気予報では、今日も明日も、北海道は雨。
前回のバスツアーんときも、すごい雨だったんだよなあ。

電車を乗り換えて、南海なんば駅へ。
今日も特急ラピート号は絶好調のご様子。
ラピートさん、関空まで、早目にたのんます!

では、しゅっぱーーーつ!!

関西国際空港駅で、旅の相棒、山猫少尉と合流する。
からしかめっつらで、どしたん?
「最寄り駅まで自転車乗ってきたら、ピアス落っことした!ウキー!」
それは、また、幸先のよろしからぬ。

気を取り直して、関空第1ターミナルへ。
コロコロとキャリーケースを引き連れて、新千歳空港行きJALに荷物を預けてみたら、出発まで時間がある。

「空港のどっかで、コーヒーでも飲んで待ってましょうか」
と、ターミナルの端っこまで歩いてたら。

「お二方、アンケートにお答えくだされば、沖縄旅行が当たるかも!ぜひ、お寄りください」

と、空港の一角で、ヒルトンの営業のひとに言われ。
ヒマだし、おもろそうなので、2人でアンケートに答えてみた。

「ありがとうございました。ダブルチャンスで、ハワイも当たるかもしれません!年末まで、楽しみに待ってて下さいねー!それでは旅行を楽しんで下さい」

沖縄当たるかなー?
とか、ワイワイ言いながら、売店でコーヒー☕️を飲み、パンをモグモグ食べてたら、いい時間だ。

よっしゃ、ほな、いこか。
北海道へ!ふたたび!!

11時過ぎに、新千歳空港に到着。

天気予報の通り、しっかり雨が降ってる。

前回の旅行では、山猫少尉は、大雨の日に底の浅いパンプスを履いてきて、水たまりに足を突っ込み、くるぶしまでびしょびしょになってたが・・・今回は大丈夫かい?

「見てください、この分厚い底のブーツを!ワタシは2度同じ過ちは犯さないのデス。ちゃーんと、今日の北海道の天気を調べての選択。完璧や!」
と、得意げに鼻をヒクヒクうごめかせていた。

・・・ちなみに、後から聞いた話では、今回持ってきた底浅パンプスは、うっかり左右別のもんをカバンに押し込んでたらしく、ヒンヒン悔し泣きしていた。

どこの誰が完璧やねん。

まずはこの大雨の中ですが、特急すずらん号に乗って、『白老駅』へ向かいますよ!

大雨の中、特急すずらん号は、走る。

前回もそうだったが、車窓から見える景色が、雨と水蒸気で、灰色に霞んでてよくわからん。
せっかくの北海道特急列車旅なのに、残念・・・。

車内では、山猫少尉と仕事の話をしてたら、あっという間に白老駅に到着。30分ですか。
南千歳駅から、白老って、特急だとあっちゅうまやね。

外の雨足は、相変わらず。傘は必須だ。
白老駅のコインロッカーに、キャリーケースを押し込み。

それでは、本日の目的地である、『ウポポイ』に行きましょうか。
おお、機関車!いいですねー。
国立アイヌ民族博物館や、他の施設の統合体、『ウポポイ』に到着。

ウポポイには、漫画ゴールデンカムイを読む前から、いっぺん行ってみたかった。
念願がかない、感無量。やっと来れた・・・。
お、ウポポイポスト。写真、撮影っと。

「・・・今日はこの雨天やから、野外のイベントは無理っぽいですねえ。しかし、なるべく参加できるイベントには、全て参加してやろ。ボーッとしてるヒマはないですよ!」

と、スケジュール表とにらめっこしながら、山猫少尉がズンズン入場してくのに、慌ててついていく、羊好大尉。

あらかじめ印刷してきた入館券を係員に渡す。
我々の旅行会社での入館券発券は、よほど特殊な案件らしく、係員はファイル片手に、色々調べているもよう。

さっきからジーッと待ってるが、なかなか入場させてくれん。

「・・・まだかなー。あれ?なんかお得な館内クーポン券ですって!?千円で、ウポポイ館内の食事や買い物に使える2千円クーポン!?これ、買いましょ!」
と、2人とも勢いでクーポン券を買ってしまった。

お得クーポンを握りしめ、早速、ウポポイランチや!
と、すいた腹を抱えて、昼メシ、昼メシ、と連呼してたら。

「このアイヌ伝統舞踊イベントが、あと15分もしたらはじまるから、昼メシはその後でね!入場者数には制限があるらしいから、急いで受付てみましょ!」

2人入れますか?と窓口で申し込んだら、なんとかギリギリ入れてくれた。ヨカッタ!

ホールの座席に着席し、舞台で繰り広げられるアイヌの伝統舞踊を鑑賞。

天空に響いていくような、独特の抑揚とリズムに、酔いしれる。
晴れてたら、屋外のポロト湖の湖畔でも、イベントあったんやろけどなあ。

ホールを出て、工房へ。

アイヌの伝統刺繍の先生と、木彫りの先生が、台上で実演している。
山猫少尉は、刺繍をしてるおばちゃんに、熱心にやり方を教えてもらっている。
「うわっ、難しそう・・・集中したら、できるかな?」
クロスステッチの要領で、こうしてね、ここをまわしてね」

山猫少尉が先生とやりとりしている間、工房に展示しているアイヌの伝統衣装や道具を、鑑賞してよう。
受付で、アイヌ紋様の木彫体験に最後の空き人数があったので滑り込みで予約。(次の予約は断られてた)

次の木彫体験開始時刻まで、1時間ほどあるので、外に出る。
チセ(家)の中では、各種の実演イベントが行われている。

今日は雨天ということもあり、屋外イベント中止のあおりを受けて、チセ室内に客が集まりすぎている感じ。

「さっきの刺繍体験も予約したかったのにい!残念すぎる!!」
と、山猫少尉が地団駄踏んでるのも、定員オーバーで断られたからだ。
コロナ対策による人数制限もあるので、なかなか全て参加できそうにはないようで。

「ん?口琴ムックリ)の実演ってやってますよ?おもしろそー!」
と、チセエリアで楽しそうな実演イベントがやってたので、参加してみた。
1500円の参加費を払って『ムックリ』というアイヌ口琴を購入し、先生の指示通りに構え、ヒモを震わすと口に当てたムックリが、ギョーン!ギョーン!!と鳴り響く。
・・・はずなのに。

お隣の老夫婦は、見事に鳴らしておられる。
お隣の山猫少尉も、器用に鳴らしておられる。

・・・(ドスっ、ドスっ)。

「羊好大尉のムックリは、ひょっとして壊れてるんちゃいますか?」
と、これ見よがしにムックリを鳴らしながら、山猫少尉が指摘すると、先生も心配して私のムックリを再確認。

「いえ、ちゃんとしたムックリですね。その証拠に、ほれ」
と、私のムックリを派手にギョンギョン鳴らす先生。

・・・あー、あまり雑にギョンギョンしないで。
私のムックリは繊細なのですから。
湿気が多いと、どうしても鳴らない、とも聞きますし。

「でも、センセは今もギョンギョン鳴らしてますけど」
と、山猫少尉。

雨さえやめばね!こんなムックリだろうとタックリだろうと、ジャンジャンバリバリ鳴らしてやるのにね!

ひょっとして、このムックリは、ミャンマーの海外工場で生産している粗悪品かもしれん。そうに決まった。

「アタシのはちゃんと鳴るもんね。(ギョーンギョーン)チカラを抜いて、ノックするように、こう!(ギョーン)」

とか、山猫少尉とニャーニャー言いながら、来た道を戻って工房へ。

アイヌ紋様を、スマホ立てに彫りこむ、木彫体験に参加するためだ。
「こちらの彫刻刀を使って、まずは外縁をスーッと彫ってみてください。お、キレイにできてますね!ピリカ!」

と、お兄さん先生たちは、各テーブルを回って、参加者(8名、うち7名は女性)に声をかけたり、助言したりする。

「アカン、ここが引っかかって上手くいかへんのです」
と、ブツクサ言う山猫少尉にも、お兄さん先生は、丁寧に教えてくれたり、補助してくれてる。

私も、中央部・・・このギザギザが、多少曲がってしまってんですよねえ。(直してくれへんかなー)

「・・・あー、多少の歪みやはみ出しは、アジになりますよ。ピリカピリカ」
とか言って、先生はサッサと次の参加者のテーブルに行ってしまった。

・・・。
なにがピリカだ。
もういい、私は誰の手も借りず、独特の紋様を編み出して、アイヌ文化に新しい風を吹き込んでやるぜ。

決意も新たに、ガリガリ彫刻刀で板を削ってたら、あっという間に1時間経ち。

「見てみて!ワタシってば、こんなまっすぐに美しい紋様を!天才なんかも!?」
と、興奮してる山猫少尉。

その真っ直ぐの彫りは、お兄さん先生に手直ししてもろたとこやろ。
見てみ、私なんか、このオドロオドロしい曲線を描ききって、見事に自力で完成させとんねん。
紋様のテーマは、『台風と地震による災い』や!

とか、わーわー言いながら、なかなか楽しい木彫体験なのでした。
本日、ウポポイでは、キッチンカーフェスティバルが開催中だ。

腹はぺこぺこだが、だいぶん昼も過ぎ、ここでガッツリランチ食べたら、夕飯が食べられないカモ。

キッチンカーで買ったトルティーヤと暖かいコーヒーで、少しだけ小腹を満たす。ホントは、チキン南蛮とかたいやきとかも、めっちゃ気になっとるんやけどね!

ズズズ。はー、あったまる。

「むー、この後は『カムイアイズ』という、謎イベントに行ってみます?その後、民族博物館をぐるっと巡って、夕方まで時間をかけて、物販コーナーいって」

ウポポイ・マップを展開し、難しい顔で膝を組み、コーヒーを飲む、山猫少尉。
今日は、このウポポイに終日いるから、参加できそうなイベントは、どんどん行こう。アイヌ民族博物館は、前回のツアーでだいたい見てる内容やろしね。後回しでいい。

「ですよねー、よっし、行きましょ!」

コーヒーを飲み終え、『カムイアイズ』に参加するため、ポロト湖畔を歩いていく。
『カムイアイズ』は、動物目線で3D画像を見る、視覚体験型イベントだった。
大空を飛ぶ鳥の目線、キツネの目線で、グリグリ画像が動く。おお、没入感がすごい!

短い時間で、カムイアイズは終了。
山猫少尉が、3D酔いして、フラフラしていた。
大丈夫かい?

アイヌ民族博物館にて、アイヌ文化の展示をみる。

「この、木製皿に彫り込んでる紋様!?こんな複雑なのに、薄い彫りで・・・改めてスゴい技術ですよねー」

さっきの木彫体験もあるので、驚きも感動も2倍になる。
こんな、曲面に彫り込んでって、すごいよなー。
手が滑って、彫り失敗したらアウトやねんもん。

博物館は、しっかり全部観る。
でも、正直、見たことあるよな文物なのかな。新鮮味はあまりないかも。バスツアーでも、各所のアイヌ民族博物館は見てきたから。

ウポポイ物販コーナーは、じっくり見て、買い物を楽しむ。

ウポポイラスクを買ってみましょう。
ムックリも、ちゃんとしたヤツ買う。

とかしてたら、そろそろ、陽も落ち、暗くなってきた。
雨はまだ、小雨ながら降り続けている。

フードコート『ヒンナヒンナキッチン炎』で、夕飯をいただく。この時間、客は、ほとんどいない。
私は、白老牛肉カレーにしよう。
ん!?1980円!!お高いわねえ!?
山猫少尉は、ラーメンサラダと肉串を、ハムハム食うてる。

「・・・お腹いっぱいになったら、小雨の中で屋外プロジェクションマップは、しんどいですねえ。もう、今日は帰りましょうか?」
と、小さい声で提案してきた、山猫少尉。
さっきの『カムイアイズ』という立体画像を見て、3D酔いしたダメージが大きいらしい。

もう、いつの間にか夜19時やもんな。
今日の宿は苫小牧で、電車の時間やし・・・帰ろっか。

小雨の中、夜のウポポイを後にする。

ウポポイは、ただの学術的民族博物館ではない、面白い体験をさせてくれるアミューズメント施設でもあった。
好天やったら、数々の屋外ステージでの催し物もあったはず。
今度来る時は、朝イチで来よう!ちゃんと、参加型イベントも、予約する順番決めて。

山猫少尉とそんな話してたら、白老駅に到着。

駅構内で、電車の遅延について、放送が聞こえてくる。
・・・なに?苫小牧方面の電車が、大幅に遅れてるの?
今から我々が乗ろうと思ってた電車やん!?

慌てて改札の駅員に、状況を尋ねてみる。

「はい、苫小牧方面の在来線は今、大幅に遅延しておりまして。」
ええ!?大幅って、何分遅れなんですか?

「本来50分前に到着予定だった『特急すずらん』が、あと5分ほどで到着します。特急料金は不要なので、とりあえず、これに乗車して下さい。急いで!これを逃すと、次はいつ乗車できるかわかりません。改札は着いた駅でしていただいて結構なので!!」

と、せきたてられる。

わ、わかりました!
急いでコインロッカーから自分の荷物を出してると。

「こ、コインロッカーの、カギがないー!うわーん、なんでないの!?ナクシちゃったかも!」
と、半泣きでポーチとかをひっくり返しロッカーのカギを探す、山猫少尉。

ホームに、電車が到着し、乗客が乗り降りしだしたので、さらにパニックになっとる。
あー、コレは逆方向の電車やから、まだ時間はあるねん。
落ち着いて、そこに座ってゆっくりカギ探してみ。

「ない、ない!やっぱりないーー!?なんで?」
と、ポケット財布、肩掛けバッグを探してるうちに。

「・・・あ、あった・・・( ;  ; )」
と、山猫少尉が、コインロッカーのカギを、つまみ出した。

よし!あったんなら、こっからは急ぐで!!
もう、たぶん発車まで、1分も時間ない!
しかも、到着ホームは向こう側や!キャリーケースを抱えて、階段を駆け上がれー!!
でも、転ぶなよ!旅行中ケガするくらいなら、乗り遅れた方がええねんからな!!慎重に急げえーー!!

と、声を励まし、なんとかギリギリで特急すずらん号に飛び乗った、羊好大尉と、山猫少尉。

「・・・あ、あぶなかったあ!ギリギリ間に合った!!」
と、2人して座席にへたり込む。ひーー。
で、でも特急料金払わずに、特急乗れちゃったし、良かったヨカッタ!
と、セコい関西人の価値観で、トクした気分になっているのでした。

苫小牧駅から、今晩宿泊するホテルは、徒歩10分とあるので、もう歩いて行こう。雨も小降りになってきてるようだし。
と、歩き出したのが大失敗。

歩けどあるけど、ホテルは見えず。
雨はともかく、風がどんどん強くなり、傘が吹っ飛びそうになる。
重たいキャリーケースも引いているので、片手で傘のバランスが・・・ひえーーー!

・・・結果、びしょ濡れになりつつ、コンフォートホテル苫小牧に、たどり着いたのでした。
ケチらず、タクシーで行くべきだった・・・。
バスツアーと違い、その辺の距離感、残った体力気力を考えて、自己判断せなあかんのやな、鉄道の旅行は。

とか、ぐるぐる考えながら、もう疲れ果てて、ベッドで気絶するように寝落ちする、羊好大尉なのでした。

【つづく】