ゴールデンカムイ聖地巡礼バスツアー旅2022(2日目)

2日目。

札幌駅前のホテルで、早朝目を覚ます。
昨日は、程よい疲れで、ぐっすり眠れた。
いよいよ本日から、ゴールデンカムイ聖地巡礼バスツアーに参加する。
気になるのは本日のお天気だが、TVで北海道各地の天気予報を見ると、あいにくの雨☔️マーク。
てゆうか、かなりの大雨らしく、各地で厳重な警戒を呼びかけてますが・・・大丈夫かなあ。
ホテル大浴場で朝風呂、ホテルメシとコーヒーをいただいて、のんびりしてたら、もうそろそろ集合時間や。

ホテルを出て、傘さして札幌駅内の集合場所へ。
相棒の山猫少尉と合流し、ツアーの方の点呼を受ける。
アーバスは、なかなか立派なデカいバスだ。


ツアー客は全員で16人ほど。コロナ対策で、1列空けても余裕のスペースがある。隣も空けてるし。
これはゆったりできてええわあ。
ふっくらした大きい羊である羊好大尉は、狭いバスがタイヘン苦手なのだ。
旅の相棒である山猫少尉は、私の後方席に陣取り、のびのびセイセイした顔で座ってる。
昨日のフライトで、私の真横に座ってたピーチな航空が、よほど狭かったのだろう。
つくづく、北海道サイズな私。内地のせせこましい規格には、私は大きすぎるんだべさ。

「それでは、出発しまーす。これから新千歳空港に寄り、残りのツアーの方々と合流して、本日の最初の目的地、『二風谷コタン』に向かいます。」
ツアー添乗員のアナウンスと共に、ツアーバスが発車する。と、同時にかなりの雨がザーザー降り出し、高速道路は水びたしだ。

バフォーー!ゴゴゴーー!!とかいう物騒な雨音を立てて、バスは突き進む。水をかきわけ、波をちゃぷちゃぷかきわけ、ツアーバスは何処へ行く?

・・・大丈夫なの?今日のツアー?
乗ってるのん、水陸両用車なんか?

新千歳空港で残りのツアー客と合流し、苫小牧方面に南下するツアーバス。雨風は、さらに勢いを増してるようにも思えるんですが。

「えー、皆さま、ご覧のとおり本日の天気は、なかなか厳しいものがあります。せめて、明日は晴れるよう、皆さん、なんらかのカムイにお願いしましょう」
と、最初からカムイ頼みの、ツアー添乗員さん。

明日というか、今日の無事を祈った方がよさそうなんですけど!?横なぐりの雨風が、ブォンブォンいうてるよ?
道路も、タイの洪水みたいになっとんよ?

お昼前。
我らが水陸両用バスは、本日最初の目的地・『二風谷コタン』に奇跡的に無事、到着した。
ありがとうございます、雨水のカムイさま。

コタン、とはアイヌの集落のこと。
二風谷コタンでは、アイヌの文化博物館や、民芸工房、復元されたチセ(家)等がたくさん集まっている。
ゴールデンカムイ』の背景となる、アイヌの文化や伝統について、ここで見聞できるらしい。


「まずは、皆さんでアイヌ伝統の食を体験しますー。お昼ごはんは、ここでいただきます。」

と、カムイ頼みの添乗員さんに導かれ、皆で施設内に入る。

「皆さん、アレでしょ、ゴールデンカムイって漫画が好きなひとたちなんでしょー?そしたらねー、マンガにでてくる『チタタプ』を実際に皆さんで作ってみようねー」

と、現代に生きるアイヌおばあちゃん先生が、『チタタプ』の材料を出してきた。

「マンガと現実はねー、ちがうからねー。」
と、カムイ聖地巡礼ツアーの一行に、身も蓋もないことを言う、おばあちゃん先生。
「今の季節は、なーんもないからねー、豚足と豚タンで代用するからねー。」
と、肉を取り出して、包丁でネギとか塩と混ぜて、細かく叩きだす。

「やってみたいーってヒト、やりなさいよー」
と、おばあちゃん先生。

「ハイ!アタシ、やりたい!」
と、元気よく手を上げる、山猫少尉。

両手に包丁を構え、ズドドド!と具材を叩き、粉砕斬りしていく。おー、うまいうまい。


そうしてみんなで作った豚足の『チタタプ』とアイヌ伝統料理のお弁当を、先生の丁寧、かつ大胆な説明を受けながら、美味しくいただく。
不思議な優しい味のお茶も美味しくいただく。
完食でござる!
外の大雨を忘れて、貴重な食体験をしたのでした。

お昼ごはんをいただいた後は、コタン内を自由に散策。
とは言え、大雨なので、行動範囲も限られてくる。
とりあえずは、文化博物館を観ましょう。


外は大雨なので、施設内の展示はありがたいー。

「このマキリは、キロランケニシパの持ってたのと似てますよねー。こっちの木船も、作品に出てたカモ!」

狩猟採集で生活してたアイヌが、和人と交易して鉄製の道具を使いだしたんやなー。

と、山猫少尉と2人であーだこーだとじっくり展示説明を読んだり見たりしてたら、他の連中はサッサと見終わり、誰もおらんくなった。

「ここでナンボでも見てられますけど、時間も限られてるから、次行きましょ」
そうしましょ。
施設内の展示も見終わり、傘をさして屋外展示を見に行く。

ほお、こっちにもチセ、あっちもチセ。
こっちのチセは、入れるのかな?入らないのかな?

「んぎゃー!水たまりに足突っ込んだー!」
と、山猫少尉が叫んでる。
彼女は底の浅いパンプス履いてるから、足元は水浸しだ。
あ!そこ、気をつけて!
「へ!?んぎゃー!また、水たまりがあ!!」
見事に両足浸水する山猫少尉。かわいそすぎる。

『北の工房つとむ』という工房土産屋さんに入る。

「工房主の貝澤さんは、キロランケニシパのマキリをデザインした凄腕工芸家なのです!この店には、ゴールデンカムイの作者野田先生直筆のサイン入りイラストもあるし、ぜひいかないと!!」
と、両足がびしょびしょの山猫少尉が言うてるので、サインを求めて店内をウロウロする。

「おー、あんたたち、どっから来たの?えっ!?京都と大阪から!?そりゃあ、また遠いとこから。ゴールデンカムイのファンなのかい?じゃあ、裏の本棚に、野田先生のサイン入りイラスト本あるからさ、撮影してきな」

と、店主貝澤徹さんが、親切に店の奥の本棚を見せてくれた。

「し、写真撮ってええんですかっ!?」
と、興奮のあまり鼻の穴をパンパンに膨らませた山猫少尉は、ニャーニャー言いながら、単行本の裏に描かれたイラストを、スマホで撮影しだした。

そのうち、同じツアーの客が、我も我もと集まってきて、単行本をグルリと取り囲み、撮影大会がはじまってしまった。

ひえーー!みなの熱気が怖いよ!

直筆イラストサイン撮影会は、まだまだ続きそう。

「さあ、次は12巻いきますよー!ハイ、皆さん大丈夫?それじゃ、13巻いきますよー!」
と、仕切っとる常連ファンの方に導かれ、全員目をランランと輝かせながら、あーでもない、こーでもないと大騒ぎして、撮影に夢中だ。

ちなみに、山猫少尉も含め、全員女性ファン。

そこまでサイン本に興味がない私は、なんだか居場所がなくなったので、店の方に戻って、お土産を選んでおこう。
あ、このアイヌ柄っぽいガマグチ財布👛は、姪っ子のあかりちゃんに買ってあげよっと。

「なんだねー、ああいうのって、女性のファンは熱心だねー。」
と、店主の貝澤さんが、お会計しながら肩をすくめていた。
ホントですね。そろそろツアーバスの出発時間なんですけどねえ。

案の定、撮影大会から戻ってきた山猫少尉も、ツアーの他の連中も、店内のステキなお土産工芸品を目の前にして、アレか?コレか?と悩みはじめた。
出発の時間はもうすぐなのに。


名残惜しい気持ちでいっぱいだが、昼過ぎにツアーバスは、二風谷コタンを発車。

アイヌ料理のおばあちゃん先生こと、貝沢美和子先生、他のスタッフの方々に手を振って見送っていただく。
雨の中、ホントに良くしていただいたので、感謝の気持ちでいっぱい。
ありがとうございます!また、必ず来ます!
できるなら、ちゃんと晴れてる日に!!
サヨナラー!行ってきまーす!


そしてツアーバスは、大雨の中、二風谷から道東の阿寒湖へと爆進する。
バスの中はクーラーが効いて、ジメジメだった服もいい感じに乾いてきた。
吹き荒れる大雨と曇天のおかげで、車窓の外は滲んでなーんも見えんし。
ホントは、北海道の大自然パノラマを見ながら、長距離バス旅を楽しみたかった。
でもなーんも見えんのだから、仕方ない。
・・・寝よっと。
お休みなさーい。ZZz・・・。

夕方、阿寒湖温泉街に到着。
本日のお宿は、『ニュー阿寒ホテル』。
展望大浴場もある、歴史あるホテルだ。
部屋の窓からは阿寒湖が一望できるが、今日は雨曇りでよく見えん。
設備は多少古めかしいが、部屋は広いし、大浴場があれば、私は大満足。

まずは、ともあれ温泉大浴場でひとっ風呂。
ふはーーーー!きんもちいーーー。サイコー!!
今日1日の長距離バス移動の疲労も吹き飛ぶ!
汗も流れる!!スッキリ爽やか!!
ツヤツヤした顔で、部屋に戻り。
スキップしながら、夕食ビッフェ会場に向かう。
入口で、山猫少尉と合流し、我々はビッフェ会場へと突撃した。

今日1日の悪天候の憂さをはらすがごとく、羊好大尉と山猫少尉の2人は、魔神のようにビッフェメシを食いまくる。

ニュー阿寒湖ホテルのビッフェは広く、料理もとんでもなく豊富。
和洋中なんでもあり、北海道名物もズラリと取り揃えている。
まさに、ビッフェ・レストラン天国!!!


ジンギスカンビーフシチュー!サラダ!チキンのクリーム煮!カレーライス!ソフトクリーム(バニラ)🍦!同チョコレート!

「羊好大尉のチョイスって、あんまり北海道感はないですねー。カレーとシチューの量、ヤバくないですか?」
と、ご当地名物小鉢やらカニの脚を山ほどトレイに並べた山猫少尉に指摘される。

私のような道産子羊は、今さら北海道名物なんて食べたいーとかないねん。そゆのんは、毎年のように食い散らかしてるからね!
「ふーん。あ、釜飯や!!これも食べたい!よし、食べよう!」
と、欲望に忠実な山猫少尉。

2人でペラペラおしゃべりしながら、食いたいモンをパクパク食い、アイスやスイーツをペロペロしてたら、アホみたいにおなかいっぱいになる。幸せー。

腹ごなしに、阿寒湖アイヌコタンに夜散策することにした。

「あれ?なんかの催しがもうすぐはじまるって、放送してますよ?どーします?行きます?」

ん?よし、おもろそうやし、行こ!

何もわかってないけど、テキトーに列の最後尾に並んでみる。
え?入場料2200円すんの?なかなかやなー。

やがて舞台で、アイヌの古式・現代舞踊がはじまった。
一瞬で引き込まれる。


和人が北海道にやってきて、アイヌと共存してきたホロケウカムイ(エゾオオカミ)は駆逐され、絶滅してしまう。

失われたカムイを思い、継がれてきたアイヌの文化を失わないよう、文字伝承のないアイヌは歌い踊って伝えていく。
その迫力に圧倒される。すばらしかった。
魂が震える感動。この感情は、なんやねん?
とても良い体験ができた!!

その勢い余ってか、帰り道の民芸お土産屋で、山猫少尉がアクセサリーやら小物を、ニャーニャー言いながら買っている。
お買い物に付き合いながら、さっき見たアイヌ古式舞踏の余韻に浸る、羊好大尉なのでした。
ええもん見れたなーー。